事業報告(2017年1月1日から2017年12月31日まで)
サッポログループ(企業集団)の現況

事業の経過及び成果
当期の日本経済は、輸出の回復や雇用所得環境の改善により、緩やかな回復基調となりました。一方で、地政学リスクの高まりや天候不順が、投資や消費への抑制に働き、依然として先行きの読めない経済環境となりました。
国内酒類業界では、改正酒税法による店頭価格の上昇や夏場の天候不順、消費者の節約志向による居酒屋業態の不振などが需要を押し下げる要因となりました。海外では、北米のビール市場は前期を下回ったものと推定されますが、アジアのビール市場は引き続き成長しています。国内飲料業界は、前期並みに推移したものと考えられます。不動産業界では、首都圏オフィス賃貸市場において空室率が改善するとともに賃料水準も緩やかに上昇しています。
このような状況のもと、サッポログループでは、「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」及び「第一次中期経営計画2020」に基づく成長戦略を加速させ、「世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニー」になることを目指し、2017年度の財務目標達成に向かい歩んできました。
当期におけるサッポログループの連結業績は、以下のとおりです。
売上高
国内酒類事業では、ブランド強化を図っているビールやワイン・RTD・スピリッツ類などの多層化の取り組みが好調に推移しましたが、発泡酒や新ジャンルの売上数量が前期を下回ったことから、減収となりました。一方で、国際事業では、サッポロブランドのビール売上数量が前期を上回ったことや、「カントリー ピュア フーズ社」の果汁シャーベット事業などが寄与した結果、増収となりました。食品・飲料事業では、国内のレモン飲料やスープ食品などの売上数量が前期を上回りましたが、シンガポールや同国からの輸出による売上数量が減少したことなどから、前期並みの売上高となりました。外食事業では、国内の既存店が堅調に推移したことや、前期6月に新規連結となった「マルシンカワムラ社」「銀鱗水産社」が通年寄与したことなどから増収となりました。不動産事業では、前期9月に開業した「GINZA PLACE(銀座プレイス)」の通年寄与などにより増収となりました。
以上の結果、連結売上高は5,515億円(前期比97億円、1.8%増)となりました。
営業利益
国内酒類事業では、売上高は減収となりましたが、ビールやワイン・RTD・スピリッツ類など多層化の成長により、品種構成が改善した影響や、製造原価の改善により、営業利益は前期並みとなりました。国際事業では、北米酒類が好調に推移しましたが、「シルバー スプリングス シトラス社」の売上数量が減少したことや、「アンカー ブリューイング社」の取得費用などが影響し、減益となりました。食品・飲料事業では、シンガポールでの売上減少などにより、減益となりました。外食事業では、売上高は堅調に推移しましたが、食材の高騰や人件費の上昇により、減益となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入増加や、「GINZA PLACE(銀座プレイス)」の寄与により、増益となりました。
以上の結果、連結営業利益は170億円(前期比32億円、16.0%減)となりました。
経常利益
連結営業利益の減少により、連結経常利益は164億円(前期比27億円、14.5%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益
投資有価証券売却益48億円や、固定資産売却益19億円を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は109億円(前期比15億円、15.9%増)となりました。

事業セグメント別の概況
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。
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国内酒類事業
売上高構成比 詳細はこちら
当期の概況
国内におけるビール類総需要は、6月の改正酒税法の影響に加えて夏場の天候不順により、RTD(※1)への流出や業務用市場の落ち込みが見られ、前期比98%弱になったと推定されます。
このような中で、国内酒類事業は、経営ビジョン「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を継続し、サッポログループならではの価値の提供を積み重ねるとともに、「ビール復権宣言」を事業方針に掲げ、ビールに積極的な投資をすることで、さらなる成長を目指しました。
ビールでは、好調な売上を維持し続けている「サッポロ生ビール黒ラベル」の缶製品が牽引しました。また、「ヱビス」ブランドも、3月発売の「ヱビス 華みやび」が好評をいただき、ビール合計の売上数量は前期比102%となり、3年連続で前期を上回りました。一方で、発泡酒「極ZERO(ゴクゼロ)」や、新ジャンル「麦とホップ」ブランドの売上が前期を下回りました。ビール類合計の売上数量は前期比98.1%となりましたが、総需要を上回りました。
RTDでは、高付加価値のコラボ新商品である「愛のスコールホワイトサワー」は販売エリアを西日本限定から全国に拡大し、「男梅サワー」「キレートレモンサワー」などの主軸商品も順調に推移し、売上高は前期を大幅に上回りました。
ワインでは、輸入ワインの「ペンフォールズ」、シャンパーニュ「テタンジェ」や、日本ワイン「グランポレール」などのファインワイン(※2)の販売強化を図り、売上高は前期を上回りました。
洋酒では、「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上高は前期を上回りました。
和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」が引き続き好調に推移し、売上高は前期を上回りました。
以上の結果、国内酒類事業の売上高は2,786億円(前期比7億円、0.3%減)となり、営業利益は117億円(前期比0億円、0.2%増)となりました。- ※1 RTD:Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料
- ※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)ワイン
- ※3 インテージSRI甲乙混和芋焼酎市場2016年1月~2017年12月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計
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国際事業
売上高構成比 詳細はこちら
国際事業、食品・飲料事業及び外食事業の海外売上高を合わせたグループの売上高海外比率は、21.2%(酒税抜き)です。
当期の概況
北米におけるビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期を下回ったと推定されます。アジア経済は、依然底堅いものの成長率が鈍化し、各国・地域ごとの景気動向にばらつきが見られました。
このような中で、国際事業は、北米及び東南アジアにおけるプレミアムビール市場を中心にブランド力の強化に取り組み、アメリカでは果汁飲料の販路拡大を行いました。
北米では、カナダにおいて、「スリーマン社」が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続した結果、シェアアップを果たしましたが、ビール市場の停滞により「スリーマン社」のビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期比99%となりました。アメリカのビール市場では、「サッポロUSA社」がアメリカ一般市場やアジア系市場への展開を進めた結果、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比106%となりました。また、9月から「アンカー ブリューイング社」を連結子会社化し、北米プレミアムビールブランドの強化を図りました。アメリカの飲料市場においては、「カントリー ピュア フーズ社」の業務用飲料や果汁シャーベットが好調に推移したものの、同国におけるオレンジジュースの消費量逓減を背景に、「シルバー スプリングス シトラス社」の売上数量が大幅に減少した結果、両社合計の売上高は前期を下回りました。
東南アジアでは、ベトナムにおいて、1月からの酒税増税に加え、販促方法の変更により取扱店が減少した結果、ビール売上数量は前期を下回りました。シンガポールでは、家庭用及び業務用市場への販路拡大に取り組み、ビール売上数量は前期を上回りました。
その他のエリアでは、韓国において、家庭用及び業務用市場で好調な「Sapporo Premium Beer」に加え、「ヱビスビール」の販売を開始した結果、ビール売上数量が前期を大幅に上回りました。オセアニアでは、現地でのライセンス生産を核として同市場での販売強化に取り組んでおり、ビール売上数量は前期を上回りました。
これらの取り組みを通じて、国際事業全体の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比115%となりました。
以上の結果、国際事業の売上高は698億円(前期比44億円、6.8%増)となり、営業損失は12億円(前期比▲21億円、-)となりました。 -
食品・飲料事業
売上高構成比 詳細はこちら
当期の概況
国内飲料の総需要は、前期比100%と推定されます。
このような中で、食品・飲料事業は、国内飲料においては「キレートレモン」「素材系」「食感系」「がぶ飲み」ブランド、国内食品においてはレモン及びスープのラインアップ強化を図り、サッポログループ独自の価値提案を行いました。
国内飲料では、レモンの研究成果を活用した機能性表示食品「レモンの元気」や国産六条大麦を100%使用した「にっぽん麦茶」など、強みを活かした新商品を発売しました。また、「がぶ飲み」ブランドでは、「がぶ飲み レモンクリームソーダ」などのユニークなフレーバーで話題を喚起しました。売上が好調な「加賀棒ほうじ茶」を中心とした国産素材無糖茶シリーズでは、「フード・アクション・ニッポン」のロゴマークの認知度向上に寄与したとして「フード・アクション・ニッポンMIP(Most Impressive Partner)賞」を受賞しました。
国内食品では、冷製缶スープやカップ入りスープを中心にスープ類が好調に推移しました。また、秋冬向けに、レンジで簡単に調理できるレトルトタイプのスープ「じっくりコトコト ご褒美Dining(ダイニング)」シリーズを刷新し、新たにTVCMを展開するなどスープの需要喚起を行った結果、スープ食品計で前期比105%となりました。レモン食品においては、基幹商品である「ポッカレモン100」の売上が堅調に推移し、売上高は前期比108%となりました。また、広島県や同県の大崎上島町に続き、呉産レモンの振興及び地域の活性化を目的に、呉市とパートナーシップ協定を締結しました。豆乳ヨーグルトにおいては、当期で発売20周年を迎える特定保健用食品「ソヤファーム 豆乳で作ったヨーグルト」シリーズを10年ぶりに刷新し、ブランド強化を図りました。
国内外食では、カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」を展開する「ポッカクリエイト社」が、季節やトレンドに合わせた新メニューの発売等を行った結果、既存店における売上高は堅調に推移し、前期を上回りました。
海外飲料では、緑茶で約70%のシェアを占め、お茶カテゴリーでNo.1のシェア(※)を有するシンガポールでのポジションは維持しつつも、一部の国における新たな税制の導入による影響もあり、シンガポールからの輸出についてはやや低調に推移しました。また、インドネシアの「ポッカ ディーマ インターナショナル社」において、現地の飲料水生産設備が4月より本格稼働し、主力となるPETボトル商品「450mlジャスミングリーンティ」「350mlレモンブラックティ」等の生産出荷を開始しました。
以上の結果、食品・飲料事業の売上高は1,378億円(前期比0億円、0.0%減)となり、営業利益は5億円(前期比7億円、57.1%減)となりました。※ データ出典:Nielsen Singapore Market Track May 2017(Copyright © 2017, The Nielsen Company) -
外食事業
売上高構成比 詳細はこちら
当期の概況
国内外食市場は、業界全体として売上高では回復基調が続いているものの、人手不足に伴う採用コストや食材の仕入価格は上昇基調にあり、依然として厳しい経営環境にありました。
このような中で、外食事業は、企業理念である「JOY OF LIVING~生きている喜び~」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めました。
国内では、「ヱビスバー」を2月に中四国エリア初となる広島に、3月は新横浜で出店するとともに、5月には大宮に「銀座ライオンビヤガーデン」を新規出店しました。また基幹店舗である「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」のリフレッシュ改装を行うとともに、「銀座ライオン 羽田空港店」の全面改装を行い、当期は計3店舗の新規出店と2店舗の店舗改装を実施しました。一方、不採算店等8店舗を閉鎖したことにより、当期末の国内店舗数は195店舗となりました。
シンガポールにおいては、市内中心部にある「とん吉」業態3店舗の店舗改装を実施しました。また、ケーキの販売店「RIVE GAUCHE(リヴ・ゴーシュ)」をシティリンク内に新規出店しました。一方で3店舗を閉鎖したことにより、当期末のシンガポール店舗数は13店舗となりました。
以上の結果、外食事業の売上高は291億円(前期比10億円、3.6%増)となり、営業利益は3億円(前期比3億円、50.2%減)となりました。 -
不動産事業
売上高構成比 詳細はこちら
当期の概況
不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、2018年以降の大型供給による影響で空室率の低下に一服感が見え始めてきてはいるものの、好調な企業業績を背景に引き続きオフィス需要が堅調なことから、依然として空室率は低い水準で推移しており、賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しています。
このような中で、不動産賃貸では、「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しています。また、既存テナントの賃料水準引き上げについても積極的に取り組んでいます。
複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」では、施設の新たな付加価値創出やブランド価値向上を図るため、渋谷区民も利用可能な「コンソーシアム型」(複数企業向け)の事業所内保育所を4月に開所するとともに、展望レストラン街を「Grand&Casual ~本物を気軽に愉しむ贅沢」のコンセプトのもと全面リニューアルし、39階は「Think the world」をテーマに世界の厳選された料理の数々を愉しめるフロアに、また38階は「和」をテーマにしたフロアとし、8月にグランドオープンしました。
2016年9月に開業した複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」は、通年稼働により収益に貢献しました。施設コンセプトである「発信と交流の拠点」としてさらに情報発信力を高め、ブランド価値向上に取り組んでいくとともに、街の賑わい創出や集客向上に貢献していきます。
また、札幌市が都心まちづくりの重点地区と位置付けて進めている「創成川以東地区」の再整備計画に合わせ、複合商業施設「サッポロファクトリー」の改装を着実に推進しています。隣地駐車場跡地の再開発については、地上3階建て、延べ面積約6,900m2の新たな商業施設が5月に竣工し、住宅関連企業のショールームとして7月に開業しました。今後も生活者の利便性向上を図り、魅力ある都市空間づくりに努めていきます。
一方、長期的な視点から引き続き物件ポートフォリオの見直しを行っており、10月には、「星和高麗橋ビル」(大阪)を売却しました。
以上の結果、不動産事業の売上高は241億円(前期比12億円、5.4%増)、営業利益は112億円(前期比9億円、9.0%増)となりました。

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当期の概況
国内におけるビール類総需要は、6月の改正酒税法の影響に加えて夏場の天候不順により、RTD(※1)への流出や業務用市場の落ち込みが見られ、前期比98%弱になったと推定されます。
このような中で、国内酒類事業は、経営ビジョン「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を継続し、サッポログループならではの価値の提供を積み重ねるとともに、「ビール復権宣言」を事業方針に掲げ、ビールに積極的な投資をすることで、さらなる成長を目指しました。
ビールでは、好調な売上を維持し続けている「サッポロ生ビール黒ラベル」の缶製品が牽引しました。また、「ヱビス」ブランドも、3月発売の「ヱビス 華みやび」が好評をいただき、ビール合計の売上数量は前期比102%となり、3年連続で前期を上回りました。一方で、発泡酒「極ZERO(ゴクゼロ)」や、新ジャンル「麦とホップ」ブランドの売上が前期を下回りました。ビール類合計の売上数量は前期比98.1%となりましたが、総需要を上回りました。
RTDでは、高付加価値のコラボ新商品である「愛のスコールホワイトサワー」は販売エリアを西日本限定から全国に拡大し、「男梅サワー」「キレートレモンサワー」などの主軸商品も順調に推移し、売上高は前期を大幅に上回りました。
ワインでは、輸入ワインの「ペンフォールズ」、シャンパーニュ「テタンジェ」や、日本ワイン「グランポレール」などのファインワイン(※2)の販売強化を図り、売上高は前期を上回りました。
洋酒では、「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上高は前期を上回りました。
和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」が引き続き好調に推移し、売上高は前期を上回りました。
以上の結果、国内酒類事業の売上高は2,786億円(前期比7億円、0.3%減)となり、営業利益は117億円(前期比0億円、0.2%増)となりました。- ※1 RTD:Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料
- ※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)ワイン
- ※3 インテージSRI甲乙混和芋焼酎市場2016年1月~2017年12月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計
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国際事業、食品・飲料事業及び外食事業の海外売上高を合わせたグループの売上高海外比率は、21.2%(酒税抜き)です。
当期の概況
北米におけるビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期を下回ったと推定されます。アジア経済は、依然底堅いものの成長率が鈍化し、各国・地域ごとの景気動向にばらつきが見られました。
このような中で、国際事業は、北米及び東南アジアにおけるプレミアムビール市場を中心にブランド力の強化に取り組み、アメリカでは果汁飲料の販路拡大を行いました。
北米では、カナダにおいて、「スリーマン社」が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続した結果、シェアアップを果たしましたが、ビール市場の停滞により「スリーマン社」のビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期比99%となりました。アメリカのビール市場では、「サッポロUSA社」がアメリカ一般市場やアジア系市場への展開を進めた結果、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比106%となりました。また、9月から「アンカー ブリューイング社」を連結子会社化し、北米プレミアムビールブランドの強化を図りました。アメリカの飲料市場においては、「カントリー ピュア フーズ社」の業務用飲料や果汁シャーベットが好調に推移したものの、同国におけるオレンジジュースの消費量逓減を背景に、「シルバー スプリングス シトラス社」の売上数量が大幅に減少した結果、両社合計の売上高は前期を下回りました。
東南アジアでは、ベトナムにおいて、1月からの酒税増税に加え、販促方法の変更により取扱店が減少した結果、ビール売上数量は前期を下回りました。シンガポールでは、家庭用及び業務用市場への販路拡大に取り組み、ビール売上数量は前期を上回りました。
その他のエリアでは、韓国において、家庭用及び業務用市場で好調な「Sapporo Premium Beer」に加え、「ヱビスビール」の販売を開始した結果、ビール売上数量が前期を大幅に上回りました。オセアニアでは、現地でのライセンス生産を核として同市場での販売強化に取り組んでおり、ビール売上数量は前期を上回りました。
これらの取り組みを通じて、国際事業全体の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比115%となりました。
以上の結果、国際事業の売上高は698億円(前期比44億円、6.8%増)となり、営業損失は12億円(前期比▲21億円、-)となりました。 -
当期の概況
国内飲料の総需要は、前期比100%と推定されます。
このような中で、食品・飲料事業は、国内飲料においては「キレートレモン」「素材系」「食感系」「がぶ飲み」ブランド、国内食品においてはレモン及びスープのラインアップ強化を図り、サッポログループ独自の価値提案を行いました。
国内飲料では、レモンの研究成果を活用した機能性表示食品「レモンの元気」や国産六条大麦を100%使用した「にっぽん麦茶」など、強みを活かした新商品を発売しました。また、「がぶ飲み」ブランドでは、「がぶ飲み レモンクリームソーダ」などのユニークなフレーバーで話題を喚起しました。売上が好調な「加賀棒ほうじ茶」を中心とした国産素材無糖茶シリーズでは、「フード・アクション・ニッポン」のロゴマークの認知度向上に寄与したとして「フード・アクション・ニッポンMIP(Most Impressive Partner)賞」を受賞しました。
国内食品では、冷製缶スープやカップ入りスープを中心にスープ類が好調に推移しました。また、秋冬向けに、レンジで簡単に調理できるレトルトタイプのスープ「じっくりコトコト ご褒美Dining(ダイニング)」シリーズを刷新し、新たにTVCMを展開するなどスープの需要喚起を行った結果、スープ食品計で前期比105%となりました。レモン食品においては、基幹商品である「ポッカレモン100」の売上が堅調に推移し、売上高は前期比108%となりました。また、広島県や同県の大崎上島町に続き、呉産レモンの振興及び地域の活性化を目的に、呉市とパートナーシップ協定を締結しました。豆乳ヨーグルトにおいては、当期で発売20周年を迎える特定保健用食品「ソヤファーム 豆乳で作ったヨーグルト」シリーズを10年ぶりに刷新し、ブランド強化を図りました。
国内外食では、カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」を展開する「ポッカクリエイト社」が、季節やトレンドに合わせた新メニューの発売等を行った結果、既存店における売上高は堅調に推移し、前期を上回りました。
海外飲料では、緑茶で約70%のシェアを占め、お茶カテゴリーでNo.1のシェア(※)を有するシンガポールでのポジションは維持しつつも、一部の国における新たな税制の導入による影響もあり、シンガポールからの輸出についてはやや低調に推移しました。また、インドネシアの「ポッカ ディーマ インターナショナル社」において、現地の飲料水生産設備が4月より本格稼働し、主力となるPETボトル商品「450mlジャスミングリーンティ」「350mlレモンブラックティ」等の生産出荷を開始しました。
以上の結果、食品・飲料事業の売上高は1,378億円(前期比0億円、0.0%減)となり、営業利益は5億円(前期比7億円、57.1%減)となりました。※ データ出典:Nielsen Singapore Market Track May 2017(Copyright © 2017, The Nielsen Company) -
当期の概況
国内外食市場は、業界全体として売上高では回復基調が続いているものの、人手不足に伴う採用コストや食材の仕入価格は上昇基調にあり、依然として厳しい経営環境にありました。
このような中で、外食事業は、企業理念である「JOY OF LIVING~生きている喜び~」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めました。
国内では、「ヱビスバー」を2月に中四国エリア初となる広島に、3月は新横浜で出店するとともに、5月には大宮に「銀座ライオンビヤガーデン」を新規出店しました。また基幹店舗である「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」のリフレッシュ改装を行うとともに、「銀座ライオン 羽田空港店」の全面改装を行い、当期は計3店舗の新規出店と2店舗の店舗改装を実施しました。一方、不採算店等8店舗を閉鎖したことにより、当期末の国内店舗数は195店舗となりました。
シンガポールにおいては、市内中心部にある「とん吉」業態3店舗の店舗改装を実施しました。また、ケーキの販売店「RIVE GAUCHE(リヴ・ゴーシュ)」をシティリンク内に新規出店しました。一方で3店舗を閉鎖したことにより、当期末のシンガポール店舗数は13店舗となりました。
以上の結果、外食事業の売上高は291億円(前期比10億円、3.6%増)となり、営業利益は3億円(前期比3億円、50.2%減)となりました。 -
当期の概況
不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、2018年以降の大型供給による影響で空室率の低下に一服感が見え始めてきてはいるものの、好調な企業業績を背景に引き続きオフィス需要が堅調なことから、依然として空室率は低い水準で推移しており、賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しています。
このような中で、不動産賃貸では、「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しています。また、既存テナントの賃料水準引き上げについても積極的に取り組んでいます。
複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」では、施設の新たな付加価値創出やブランド価値向上を図るため、渋谷区民も利用可能な「コンソーシアム型」(複数企業向け)の事業所内保育所を4月に開所するとともに、展望レストラン街を「Grand&Casual ~本物を気軽に愉しむ贅沢」のコンセプトのもと全面リニューアルし、39階は「Think the world」をテーマに世界の厳選された料理の数々を愉しめるフロアに、また38階は「和」をテーマにしたフロアとし、8月にグランドオープンしました。
2016年9月に開業した複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」は、通年稼働により収益に貢献しました。施設コンセプトである「発信と交流の拠点」としてさらに情報発信力を高め、ブランド価値向上に取り組んでいくとともに、街の賑わい創出や集客向上に貢献していきます。
また、札幌市が都心まちづくりの重点地区と位置付けて進めている「創成川以東地区」の再整備計画に合わせ、複合商業施設「サッポロファクトリー」の改装を着実に推進しています。隣地駐車場跡地の再開発については、地上3階建て、延べ面積約6,900m2の新たな商業施設が5月に竣工し、住宅関連企業のショールームとして7月に開業しました。今後も生活者の利便性向上を図り、魅力ある都市空間づくりに努めていきます。
一方、長期的な視点から引き続き物件ポートフォリオの見直しを行っており、10月には、「星和高麗橋ビル」(大阪)を売却しました。
以上の結果、不動産事業の売上高は241億円(前期比12億円、5.4%増)、営業利益は112億円(前期比9億円、9.0%増)となりました。
対処すべき課題
(1)サッポログループの中長期的な経営戦略並びに目標とする経営指標
当社は2016年11月、グループ創業150年となる2026年までの10年間に、当社が進むべき方向性と、2017年から2020年までの4年間で取り組む基本戦略をまとめた「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」及び「第一次中期経営計画2020」を策定しました。2018年は、「第一次中期経営計画2020」の2年目に当たります。
■サッポログループ長期経営ビジョン「SPEED150」
経営理念及び経営の基本方針は踏襲しながら、スピードを持って経営改革と事業成長に取り組むことで実現させる「2026グループビジョン」と「行動指針」を定めました。
グループの成長の源泉は、創業以来140年の歴史の中で培われた「ブランド資産」であると改めて認識した上で、グループのコア事業を『酒』『食』『飲』の3分野と位置付け、不動産事業とともにグループ保有のブランドを育成・強化していきます。国内に数多ある食品企業の中でも、『酒』『食』『飲』の3分野を展開するユニークな強みを活かし、特長ある商品・サービスをグローバルに展開し、お客様との接点拡大を図ることで、力強い成長を目指します。
- 経営理念
- 潤いを創造し
豊かさに貢献する
- 2026グループビジョン
- サッポログループは
世界に広がる『酒』『食』『飲』で
個性かがやくブランドカンパニーを
目指します
- 経営の基本方針
- サッポログループは、
ステークホルダーの信頼を高める
誠実な企業活動を実践し、
持続的な企業価値の向上を
目指します
- 行動指針
-
- イノベーションと品質の追求による新たな価値の創造で、世界のお客様のより豊かな生活に貢献します
- お客様同士のコミュニケーション活性化に役立つ商品・サービスの提供とブランド育成に努めます
- 環境変化に対応し、効率的な経営の実践に努めます
■「SPEED150」ロードマップ

■第一次中期経営計画2020
基本方針
「異次元スピードでの変革」をテーマに、成長ステージへの早期移行を目指します。
各事業の競争領域を見定め、「継続成長」「成果創出」を実現して、キャッシュ創出力を高めます。
「経営資源の戦略的シフト」「セグメント経営の事業構造変革と推進」による基盤強化を主導します。>
①成長実態に適したグループ体制と本社機能の最適化の実行
②基盤機能の強化
(2)サッポログループの主要事業での取り組み課題

「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」のビジョン継続
- ●ビール : 4年連続前年超えを目指した「続・ビール強化」
- 「サッポロ生ビール黒ラベル」…「完璧な生ビール体験」の実感につながるブランド接点拡大施策の推進
- 「ヱビス」…「日常接点の創出」をテーマにしたお客様価値向上施策の推進
- 消費の多様化、社会環境変化にも対応した個性豊かな商品の開発・育成の推進
- ●ワイン : 第2の事業の柱への確かな成長
- 日本ワイン「グランポレール」、シャンパーニュ「テタンジェ」、輸入ワイン「ペンフォールズ」を中心とした、ファインワインの提案強化
- 幅広い商品提案とプロモーションによる、デイリーワインのパワーブランド強化
- ●スピリッツ : 「ブランドの見える化」を推進したオンリーワン商品の提供
- RTD 「驚きをカタチに」実現による成長機会の最大化に向けた好調なコラボレーション商品「男梅サワー」「キレートレモンサワー」「愛のスコールホワイトサワー」の独自価値の強化、4月に発売をする「りらくす」など新たな切り口のオンリーワン商品の創出
- 和酒・洋酒 新たな楽しみ方の提案による飲用機会の拡大

北米及び東南アジアにおいて、サッポログループ独自の地位を構築
- ●カナダ市場 : シェアアップと利益計画達成
- 「スリーマン社」が扱うブランドの個性に合わせたマーケティング施策展開
- プレミアムブランドへの経営資源投入継続
- 「アンカー ブリューイング社」ブランドの販路拡大
- ●アメリカ市場 : ブランドの存在感拡大、「アンカー ブリューイング社」とのシナジーの早期実現
- 「サッポロUSA社」が今後の伸びが期待できるエリアとチャネルに経営資源を戦略的に配分
- ●アメリカ飲料市場 : 売上拡大と収益向上
- 「シルバー スプリングス シトラス社」及び「カントリー ピュア フーズ社」の強みを活かす経営体制への移行
- ローコストオペレーションによる価格優位性構築、新たな販路獲得
- ●ベトナム市場 : 収益改善
- 店頭での「Sapporo Premium Beer」独自のブランドポジショニング確立、販売網再編、販促方法効率化
- ●シンガポール市場 : 市場拡大
- 家庭用及び業務用市場の販路拡大推進

お客様視点を徹底し、サッポログループの優位性を発揮できる分野にて新価値を提案
- ●国内飲料
- サッポログループの持つ強みを活かしながら独自のポジションを確立
- 「キレートレモン」「素材系」「食感系」「がぶ飲み」ブランドを強化
- ●国内食品
- スープ…年間を通じて様々なシーンに適した商品を開発、需要を拡大
- レモン食品…「ポッカレモン100」やレモン酢商品の需要を広げる活動を展開
- 業務用…グループシナジーを活かし、売上を拡大
- 豆乳…豆乳ヨーグルトの新たな商品展開を図り需要喚起、売上を拡大
- ●国内外食
- 「カフェ・ド・クリエ」…きめ細かいマーケティングにより、既存店を活性化
- 新業態への取り組みを加速させ、ブランド価値を向上
- ●海外飲料
- 主力のシンガポール市場での優位性を維持しつつ、売上拡大と効率化を推進
- インドネシアなど重点地域においては、その国・地域に合った商品を提案、さらなる成長へ

「営業品質」の向上を図り、安全・安心な商品の提供に向けた取り組みを推進
- ●国内新規展開
- 基幹業態である「銀座ライオン」や「ヱビスバー」の展開エリアの拡大、新たな業態開発にも注力
- ●国内既存店舗施策
- 将来に亘る収益力の維持・向上に向けた、既存店舗の改装・業態変更への積極的な取り組み
- ●海外店舗施策
- ビヤホール文化を世界に発信すべく、シンガポール国内での「銀座ライオン」ブランドの再構築に向けた取り組み、収益向上に向けたコスト構造改革を推進

事業全体の価値向上に向けた、保有物件ポートフォリオの改善、「まちづくり事業」推進のための物件取得、新たな事業ドメインの構築
- ●不動産賃貸
- ハード・ソフト両面における競争力強化、保有物件の稼働率及び賃料水準の維持向上への取り組み
- ●中核施設「恵比寿ガーデンプレイス」
- 街全体のブランド価値を向上
- 商業区画をはじめとする各エリアにおける利便性向上、新たな付加価値提供
- ●複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」
- 施設コンセプトである「発信と交流の拠点」としてさらに情報発信力を高め、ブランド価値を向上
- 街の賑わい創出、集客向上への貢献
- ●複合商業施設「サッポロファクトリー」
- 札幌市が都心まちづくり重点地区と位置付けて進める「創成川以東地区」の再整備計画に合わせた改装を継続、魅力ある都市空間づくり
サッポログループは、株主の皆様をはじめとするすべてのステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、グループの持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
株主の皆様におかれましては、より一層のご支援を賜りますようお願い申しあげます。
(ご参考)サッポログループのコーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスに関する基本方針
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、東京証券取引所上場規則における「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨・精神を踏まえたうえで、当社のコーポレートガバナンスに関する考え方及び運営方針を明確化するため、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」を制定しています。
本方針のなかで、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方として、コーポレートガバナンスの強化充実を経営上の重要な課題の一つとして位置付け、持株会社体制のもとでグループ内における監督機能、業務執行機能及び監査機能を明確化し、経営における透明性の向上と経営目標の達成に向けた経営監視機能の強化に努めています。

コーポレートガバナンスに関する詳細な情報はこちらをご覧ください。
http://www.sapporoholdings.jp/ir/management/corporategovernance.html連結計算書類
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