事業報告(2018年1月1日から2018年12月31日まで)
サッポログループ(企業集団)の現況

事業の経過及び成果
当期の日本経済は、輸出の回復や雇用所得環境の改善により、緩やかな回復基調となりましたが、「平成30年7月豪雨」や「北海道胆振東部地震」等の自然災害が大きな影響を与えました。世界経済においては、米中貿易摩擦や利上げ動向、各国の政情不安などが投資に影響を及ぼし、先行き不透明な経済環境となりました。
国内酒類業界では、消費者の根強い節約志向から低価格商品への需要シフトが顕著となりました。海外では、北米のビール市場は前期を下回ったものと推定されます。アジアのビール市場は各国で状況が異なりますが、ベトナムについては引き続き成長しています。国内飲料業界は、前期をやや上回ったものと考えられます。不動産業界では、首都圏オフィス賃貸市場において空室率が改善するとともに賃料水準も緩やかに上昇しています。
このような状況のもと、サッポログループでは、「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」及び「第一次中期経営計画2020」に基づく成長戦略を加速させ、「世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニー」になることを目指し、2018年度の財務目標達成に向かい歩んできました。
当期におけるサッポログループの連結業績は、以下のとおりです。
売上収益
国内酒類事業では、ブランド強化を図っている「サッポロ生ビール黒ラベル」や、積極投資を行った「サッポロチューハイ99.99<フォーナイン>」などが好調に推移しましたが、発泡酒や新ジャンルの売上数量が前期を下回ったことから、減収となりました。一方で、国際事業では、「スリーマン社」や「サッポロベトナム社」の売上が前期を上回った結果、増収となりました。食品・飲料事業では、国内のレモン飲料や食品などの売上数量が前期を上回りましたが、缶コーヒーの市場停滞による影響や、輸出の売上数量が減少したことなどから、減収となりました。外食事業では、国内の和食業態などが低調に推移し、減収となりました。
以上の結果、連結売上収益は5,219億円(前期比147億円、2.7%減)となりました。
営業利益
国内酒類事業では、売上収益の減少に伴い、営業利益は減益となりました。国際事業では、構造改革により「サッポロベトナム社」が増益となりましたが、「アンカー社」の主要顧客エリアである西海岸(特にサンフランシスコ)での需要の低迷から売上数量が減少し、同社の減損を計上した結果、減益となりました。食品・飲料事業では、缶コーヒーの売上減少などにより、減益となりました。不動産事業では、主力物件の賃料収入増加や稼働率の向上により、増益となりました。
以上の結果、連結営業利益は108億円(前期比20億円、15.4%減)となりました。
税引前利益
連結営業利益の減少により、税引前利益は95億円(前期比20億円、17.7%減)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は85億円(前期比13億円、18.6%増)となりました。

事業セグメント別の概況
以下、事業セグメント別の概況は記載のとおりです。
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国内酒類事業
売上高構成比 詳細はこちら
当期の概況
国内におけるビール類総需要は、ビールテイスト市場からRTD(※1)市場への流出や、業務用市場におけるリターナブル容器商品の価格改定、夏以降に各地で発生した自然災害などによる消費冷え込みの影響が大きく、前期比98%程度と推定されます。
このような中で、国内酒類事業は、経営ビジョン「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を継続し、サッポログループならではの価値の提供を積み重ねるとともに、「続・ビール強化」を事業方針に掲げ、積極的な投資をすることで、さらなる成長を目指しました。
ビールでは、「サッポロ生ビール黒ラベル」は好調に推移し、4年連続で売上成長を達成しました。一方で、発泡酒及び新ジャンルは、市場の競争激化やRTDへの需要のシフト等の影響を受けて苦戦し、ビール類合計の売上数量は前期比92%となりました。
RTDでは、8月に発売したストロング系の「サッポロチューハイ99.99<フォーナイン>」が年間販売目標の200万ケースを11月末に達成し、「男梅サワー」「愛のスコールホワイトサワー」「キレートレモンサワー」等のコラボRTDの主軸商品も順調に推移したことで、売上は前期を大幅に上回りました。
ワインでは、日本ワイン「グランポレール」、シャンパーニュ「テタンジェ」、輸入ワイン「ペンフォールズ」等のファインワイン(※2)の販売を強化しました。一方で、デイリーワイン(※2)が伸び悩んだこと等から、売上は前期を下回りました。
洋酒では、「バカルディ」「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上は前期を上回りました。
和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」が堅調に推移したものの、売上は前期を下回りました。
以上の結果、国内酒類事業の売上収益は2,509億円(前期比106億円、4.1%減)となり、営業利益は67億円(前期比33億円、33.1%減)となりました。- ※1 RTD:Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料
- ※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)ワイン、デイリーワイン:低価格(1本1,500円未満)ワイン
- ※3 インテージSRI 甲乙混和芋焼酎市場2017年4月~2018年11月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計
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国際事業
売上高構成比 詳細はこちら
国際事業、食品・飲料事業及び外食事業の海外売上収益を合わせたグループの売上収益海外比率は、22.7%(酒税抜き)です。
当期の概況
北米におけるビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期を下回ったと推定されます。アジア経済は成長率が鈍化し、各国で物品課税を実施・検討する動きがより顕著となりました。
このような中で、国際事業は、北米及び東南アジアにおけるプレミアムビール市場を中心にブランド力の強化に取り組みました。
北米では、カナダにおいて、「スリーマン社」が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続した結果、ビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期を上回り堅調に推移しました。アメリカでは、「サッポロUSA社」がアメリカ一般市場やアジア系市場への展開を進めましたが、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期を下回りました。2017年9月から連結子会社化した「アンカー社」は「サッポロUSA社」とのセールスシナジー強化に取り組みましたが、主戦場であるサンフランシスコにおける総需要の大幅な落ち込みにより、前期売上を大きく下回りました。
アメリカの飲料市場においては、厳しい経営環境を背景に「カントリー ピュア フーズ社」「シルバー スプリングス シトラス社」両社合計の売上収益は前期を下回りましたが、業績改善に向け両社の経営統合を行いました。
東南アジアでは、ベトナムにおいて、「サッポロベトナム社」が高コスト体質脱却への改革、輸出の強化に取り組んだ結果、ビール売上数量は前期を大幅に上回り、単年度で営業利益黒字となりました。
これらの結果として、国際事業全体の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比98%となりました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、795億円(前期比9億円、1.1%増)となり、営業損失は34億円(前期は27億円の損失)となりました。 -
食品・飲料事業
売上高構成比 詳細はこちら
当期の概況
国内飲料の総需要は、前期比102%と推定されます。
このような中で、食品・飲料事業は各商品ブランドのラインアップ強化に注力し、サッポログループならではの価値提案を行ってきました。
国内飲料では、レモン飲料や「加賀棒ほうじ茶」などの国産素材無糖茶が好調(※1)に推移しました。一方で缶コーヒー市場の低迷を背景にコーヒー飲料の売上が減少し、加えて西日本の豪雨災害の影響により物流網に混乱が生じた影響もあり、国内飲料合計の売上数量は前期を下回りました。
レモン食品では、基幹商品「ポッカレモン100」や「レモン果汁を発酵させて作ったレモンの酢」が健康志向を捉え好調に推移し、売上数量は前期比113%となりました。また、12月には名古屋市の「東谷山フルーツパーク」内にて「ふるさとナゴヤレモン園」の共同運営を開始する等、レモンに関心を高める体験の場の創出に取り組みました。
スープ食品では、基幹商品「じっくりコトコトシリーズ」に加えて、「リゾランテ」や「辛王シリーズ」などの独自性のある商品においても話題喚起を図りましたが、暖冬の影響もあり売上数量は前期を下回りました。大豆・チルド事業では、豆乳ヨーグルトの新商品「SOYBIO(ソイビオ)」などが寄与し、前期比110%と成長しています。
国内外食では、カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」を展開する「ポッカクリエイト社」が、季節やトレンドに合わせた新メニューの発売等を行いましたが、売上は前期並みとなりました。
海外飲料では、緑茶で約70%のシェアを占め、お茶カテゴリーでNo.1のシェア(※2)を有するシンガポールでのポジションは維持しつつも、一部の国での新たな税制導入による影響もあり、シンガポールからの輸出については低調に推移しました。
以上の結果、食品・飲料事業の売上収益は1,272億円(前期比49億円、3.7%減)となり、営業利益は20億円(前期比4億円、16.6%減)となりました。- ※1 当社実績:「加賀棒ほうじ茶」シリーズ4品合計 2018年1月1日~11月26日累計販売函数
- ※2 Nielsen Singapore Market Track October 2018 (Copyright © 2018, The Nielsen Company)
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外食事業
売上高構成比 詳細はこちら
当期の概況
国内外食市場は、業界全体として売上収益では前期を上回る回復基調が続いているものの、人手不足に伴う採用コスト増や原材料の仕入価格上昇に伴い、依然として厳しい経営環境にありました。
このような中で、外食事業は、企業理念である「JOY OF LIVING~生きている喜び~」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めました。
国内においては、相次ぐ台風の上陸・長雨や北海道の震災などの影響を大きく受け、非常に厳しい経営環境となりました。その中でも新規出店として「ヱビスバー」を3月に九州初となる博多、11月には兵庫・西宮に、「銀座ライオンビヤガーデン」を5月に千葉・柏に出店するとともに、基幹業態である「銀座ライオン」を8月に川崎、9月には広島に出店しました。店舗改装としては4月に東京・青山の「銀座ライオン」を全面改装・リニューアルオープンするとともに、和食業態「そばえもん」を新業態として開発し、4月に東京・大崎に、11月には東京・青山にオープンしました。いずれもお客様から高評価を得て順調に推移しています。一方で、不採算店など6店舗を閉鎖しました。また、関係会社の「マルシンカワムラ社」においては、8月に新業態「大衆天ぷら まねき屋」を、9月には「大衆居酒屋 まねき屋」をそれぞれ札幌に出店したことにより、12月末の国内店舗数は195店舗となりました。今後も店舗数の拡大を図るとともに、既存店の店舗改装・業態変更を積極的に行っていきます。
シンガポールにおいては相次ぐ競合企業の参入により競争が激化する市場環境の中で、7月に和食レストラン等の事業を現地の飲食企業に譲渡しました。これによりシンガポールの店舗は「銀座ライオン」1店舗のみとなりましたが、ビヤホール業態に集中することで、ビヤホール文化を世界に発信すべく、取り組みを進めていきます。
以上の結果、外食事業の売上収益は276億円(前期比11億円、3.7%減)となり、営業損失は2億円(前期は5億円の損失)となりました。 -
不動産事業
売上高構成比 詳細はこちら
当期の概況
不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、大量供給の影響による市況の悪化が懸念されていましたが、好調な企業業績などを背景に引き続きオフィス需要が堅調なことから、依然として空室率は低い水準で推移しています。それを受けて賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しています。
このような中で、不動産賃貸では、収益の柱となっている「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しています。また、既存テナントの賃料水準引き上げについても積極的に取り組みを進めています。
複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」では、お洒落で洗練された街・恵比寿のランドマークとして、これまで以上にお客様に「豊かな時間」「豊かな空間」を感じていただける「大人の街」となるべく、ブランド力強化と利便性向上による資産価値向上に向けた取り組みを推進しています。
複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」は、施設コンセプトである「発信と交流の拠点」としてさらに情報発信力を高め、ブランド価値向上に取り組んでいくとともに、街の賑わい創出や集客向上に貢献していきます。
また、札幌市が都心まちづくり重点地区と位置付けて進めている「創成川以東地区」の再整備計画に合わせ、複合商業施設「サッポロファクトリー」の改装を引き続き進めており、その第一弾として、11月に3条館の一部がオープンしました。「サッポロファクトリー」では、今後も魅力ある都市空間づくりに努めていきます。
一方、不動産事業全体の価値向上を図るために、長期的な視点から、引き続き物件ポートフォリオの戦略的な組み替えを行っており、11月に「新宿スクエア」と「ストーリア白金台」を売却するとともに、恵比寿で建築中のビルを含むオフィスビル等3物件の取得を決定し、「まちづくり事業」を推進しています。
以上の結果、不動産事業の売上収益は245億円(前期比6億円、2.5%増)、営業利益は120億円(前期比18億円、17.3%増)となりました。

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当期の概況
国内におけるビール類総需要は、ビールテイスト市場からRTD(※1)市場への流出や、業務用市場におけるリターナブル容器商品の価格改定、夏以降に各地で発生した自然災害などによる消費冷え込みの影響が大きく、前期比98%程度と推定されます。
このような中で、国内酒類事業は、経営ビジョン「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」を継続し、サッポログループならではの価値の提供を積み重ねるとともに、「続・ビール強化」を事業方針に掲げ、積極的な投資をすることで、さらなる成長を目指しました。
ビールでは、「サッポロ生ビール黒ラベル」は好調に推移し、4年連続で売上成長を達成しました。一方で、発泡酒及び新ジャンルは、市場の競争激化やRTDへの需要のシフト等の影響を受けて苦戦し、ビール類合計の売上数量は前期比92%となりました。
RTDでは、8月に発売したストロング系の「サッポロチューハイ99.99<フォーナイン>」が年間販売目標の200万ケースを11月末に達成し、「男梅サワー」「愛のスコールホワイトサワー」「キレートレモンサワー」等のコラボRTDの主軸商品も順調に推移したことで、売上は前期を大幅に上回りました。
ワインでは、日本ワイン「グランポレール」、シャンパーニュ「テタンジェ」、輸入ワイン「ペンフォールズ」等のファインワイン(※2)の販売を強化しました。一方で、デイリーワイン(※2)が伸び悩んだこと等から、売上は前期を下回りました。
洋酒では、「バカルディ」「デュワーズ」等の主力ブランドが好調に推移したことで、売上は前期を上回りました。
和酒では、甲乙混和芋焼酎売上No.1(※3)の「こくいも」が堅調に推移したものの、売上は前期を下回りました。
以上の結果、国内酒類事業の売上収益は2,509億円(前期比106億円、4.1%減)となり、営業利益は67億円(前期比33億円、33.1%減)となりました。- ※1 RTD:Ready To Drinkの略。栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料
- ※2 ファインワイン:中高級価格(1本1,500円以上)ワイン、デイリーワイン:低価格(1本1,500円未満)ワイン
- ※3 インテージSRI 甲乙混和芋焼酎市場2017年4月~2018年11月累計販売金額全国SM/CVS/酒DSの合計
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国際事業、食品・飲料事業及び外食事業の海外売上収益を合わせたグループの売上収益海外比率は、22.7%(酒税抜き)です。
当期の概況
北米におけるビール市場の総需要は、アメリカ、カナダともに前期を下回ったと推定されます。アジア経済は成長率が鈍化し、各国で物品課税を実施・検討する動きがより顕著となりました。
このような中で、国際事業は、北米及び東南アジアにおけるプレミアムビール市場を中心にブランド力の強化に取り組みました。
北米では、カナダにおいて、「スリーマン社」が主力のプレミアムブランドへのマーケティング投資を継続した結果、ビール売上数量(「サッポロ」ブランドを除く)は前期を上回り堅調に推移しました。アメリカでは、「サッポロUSA社」がアメリカ一般市場やアジア系市場への展開を進めましたが、同社の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期を下回りました。2017年9月から連結子会社化した「アンカー社」は「サッポロUSA社」とのセールスシナジー強化に取り組みましたが、主戦場であるサンフランシスコにおける総需要の大幅な落ち込みにより、前期売上を大きく下回りました。
アメリカの飲料市場においては、厳しい経営環境を背景に「カントリー ピュア フーズ社」「シルバー スプリングス シトラス社」両社合計の売上収益は前期を下回りましたが、業績改善に向け両社の経営統合を行いました。
東南アジアでは、ベトナムにおいて、「サッポロベトナム社」が高コスト体質脱却への改革、輸出の強化に取り組んだ結果、ビール売上数量は前期を大幅に上回り、単年度で営業利益黒字となりました。
これらの結果として、国際事業全体の「サッポロ」ブランドのビール売上数量は前期比98%となりました。
以上の結果、国際事業の売上収益は、795億円(前期比9億円、1.1%増)となり、営業損失は34億円(前期は27億円の損失)となりました。 -
当期の概況
国内飲料の総需要は、前期比102%と推定されます。
このような中で、食品・飲料事業は各商品ブランドのラインアップ強化に注力し、サッポログループならではの価値提案を行ってきました。
国内飲料では、レモン飲料や「加賀棒ほうじ茶」などの国産素材無糖茶が好調(※1)に推移しました。一方で缶コーヒー市場の低迷を背景にコーヒー飲料の売上が減少し、加えて西日本の豪雨災害の影響により物流網に混乱が生じた影響もあり、国内飲料合計の売上数量は前期を下回りました。
レモン食品では、基幹商品「ポッカレモン100」や「レモン果汁を発酵させて作ったレモンの酢」が健康志向を捉え好調に推移し、売上数量は前期比113%となりました。また、12月には名古屋市の「東谷山フルーツパーク」内にて「ふるさとナゴヤレモン園」の共同運営を開始する等、レモンに関心を高める体験の場の創出に取り組みました。
スープ食品では、基幹商品「じっくりコトコトシリーズ」に加えて、「リゾランテ」や「辛王シリーズ」などの独自性のある商品においても話題喚起を図りましたが、暖冬の影響もあり売上数量は前期を下回りました。大豆・チルド事業では、豆乳ヨーグルトの新商品「SOYBIO(ソイビオ)」などが寄与し、前期比110%と成長しています。
国内外食では、カフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」を展開する「ポッカクリエイト社」が、季節やトレンドに合わせた新メニューの発売等を行いましたが、売上は前期並みとなりました。
海外飲料では、緑茶で約70%のシェアを占め、お茶カテゴリーでNo.1のシェア(※2)を有するシンガポールでのポジションは維持しつつも、一部の国での新たな税制導入による影響もあり、シンガポールからの輸出については低調に推移しました。
以上の結果、食品・飲料事業の売上収益は1,272億円(前期比49億円、3.7%減)となり、営業利益は20億円(前期比4億円、16.6%減)となりました。- ※1 当社実績:「加賀棒ほうじ茶」シリーズ4品合計 2018年1月1日~11月26日累計販売函数
- ※2 Nielsen Singapore Market Track October 2018 (Copyright © 2018, The Nielsen Company)
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当期の概況
国内外食市場は、業界全体として売上収益では前期を上回る回復基調が続いているものの、人手不足に伴う採用コスト増や原材料の仕入価格上昇に伴い、依然として厳しい経営環境にありました。
このような中で、外食事業は、企業理念である「JOY OF LIVING~生きている喜び~」のもと、安全・安心な商品の提供を心がけ「お客様へ100%満足の提供」を目指す店舗づくりを進めました。
国内においては、相次ぐ台風の上陸・長雨や北海道の震災などの影響を大きく受け、非常に厳しい経営環境となりました。その中でも新規出店として「ヱビスバー」を3月に九州初となる博多、11月には兵庫・西宮に、「銀座ライオンビヤガーデン」を5月に千葉・柏に出店するとともに、基幹業態である「銀座ライオン」を8月に川崎、9月には広島に出店しました。店舗改装としては4月に東京・青山の「銀座ライオン」を全面改装・リニューアルオープンするとともに、和食業態「そばえもん」を新業態として開発し、4月に東京・大崎に、11月には東京・青山にオープンしました。いずれもお客様から高評価を得て順調に推移しています。一方で、不採算店など6店舗を閉鎖しました。また、関係会社の「マルシンカワムラ社」においては、8月に新業態「大衆天ぷら まねき屋」を、9月には「大衆居酒屋 まねき屋」をそれぞれ札幌に出店したことにより、12月末の国内店舗数は195店舗となりました。今後も店舗数の拡大を図るとともに、既存店の店舗改装・業態変更を積極的に行っていきます。
シンガポールにおいては相次ぐ競合企業の参入により競争が激化する市場環境の中で、7月に和食レストラン等の事業を現地の飲食企業に譲渡しました。これによりシンガポールの店舗は「銀座ライオン」1店舗のみとなりましたが、ビヤホール業態に集中することで、ビヤホール文化を世界に発信すべく、取り組みを進めていきます。
以上の結果、外食事業の売上収益は276億円(前期比11億円、3.7%減)となり、営業損失は2億円(前期は5億円の損失)となりました。 -
当期の概況
不動産業界は、首都圏オフィス賃貸市場において、大量供給の影響による市況の悪化が懸念されていましたが、好調な企業業績などを背景に引き続きオフィス需要が堅調なことから、依然として空室率は低い水準で推移しています。それを受けて賃料水準も緩やかな上昇傾向が継続しています。
このような中で、不動産賃貸では、収益の柱となっている「恵比寿ガーデンプレイスタワー」をはじめ、首都圏を中心に保有する各物件で高稼働率を維持しています。また、既存テナントの賃料水準引き上げについても積極的に取り組みを進めています。
複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」では、お洒落で洗練された街・恵比寿のランドマークとして、これまで以上にお客様に「豊かな時間」「豊かな空間」を感じていただける「大人の街」となるべく、ブランド力強化と利便性向上による資産価値向上に向けた取り組みを推進しています。
複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」は、施設コンセプトである「発信と交流の拠点」としてさらに情報発信力を高め、ブランド価値向上に取り組んでいくとともに、街の賑わい創出や集客向上に貢献していきます。
また、札幌市が都心まちづくり重点地区と位置付けて進めている「創成川以東地区」の再整備計画に合わせ、複合商業施設「サッポロファクトリー」の改装を引き続き進めており、その第一弾として、11月に3条館の一部がオープンしました。「サッポロファクトリー」では、今後も魅力ある都市空間づくりに努めていきます。
一方、不動産事業全体の価値向上を図るために、長期的な視点から、引き続き物件ポートフォリオの戦略的な組み替えを行っており、11月に「新宿スクエア」と「ストーリア白金台」を売却するとともに、恵比寿で建築中のビルを含むオフィスビル等3物件の取得を決定し、「まちづくり事業」を推進しています。
以上の結果、不動産事業の売上収益は245億円(前期比6億円、2.5%増)、営業利益は120億円(前期比18億円、17.3%増)となりました。
対処すべき課題
(1)サッポログループの中長期的な経営戦略並びに目標とする経営指標
当社は2016年11月、グループ創業150年となる2026年までの10年間に、当社が進むべき方向性と、2017年から2020年までの4年間で取り組む基本戦略をまとめた「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」及び「第一次中期経営計画2020」を策定しました。2019年は、「第一次中期経営計画2020」の3年目に当たります。
■ サッポログループ長期経営ビジョン「SPEED150」
経営理念及び経営の基本方針は踏襲しながら、スピードを持って経営改革と事業成長に取り組むことで実現させる「2026グループビジョン」と「行動指針」を定めました。
グループの成長の源泉は、創業以来140年の歴史の中で培われた「ブランド資産」であると改めて認識した上で、グループのコア事業を『酒』『食』『飲』の3分野と位置付け、不動産事業とともにグループ保有のブランドを育成・強化していきます。国内に数多ある食品企業の中でも、『酒』『食』『飲』の3分野を展開するユニークな強みを活かし、特長ある商品・サービスをグローバルに展開し、お客様との接点拡大を図ることで、力強い成長を目指します。
- 経営理念
- 潤いを創造し
豊かさに貢献する
- 2026グループビジョン
- サッポログループは
世界に広がる『酒』『食』『飲』で
個性かがやくブランドカンパニーを
目指します
- 経営の基本方針
- サッポログループは、
ステークホルダーの信頼を高める
誠実な企業活動を実践し、
持続的な企業価値の向上を
目指します
- 行動指針
-
- イノベーションと品質の追求による新たな価値の創造で、世界のお客様のより豊かな生活に貢献します
- お客様同士のコミュニケーション活性化に役立つ商品・サービスの提供とブランド育成に努めます
- 環境変化に対応し、効率的な経営の実践に努めます
また、当社は経営理念に基づく企業活動を通じて、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを深め、情報発信力を強化することで、当社の存在感を高めながら、満足度向上を目指していきます。
■ 「SPEED150」ロードマップ

■ 第一次中期経営計画2020
基本方針
「異次元スピードでの変革」をテーマに、成長ステージへの早期移行を目指します。
各事業の競争領域を見定め、「継続成長」「成果創出」を実現して、キャッシュ創出力を高めます。
「経営資源の戦略的シフト」「セグメント経営の事業構造変革と推進」による基盤強化を主導します。
①成長実態に適したグループ体制と本社機能の最適化の実行
②基盤機能の強化
(ご参考) セグメント変更によるマネジメント体制強化(2019年1月より)
当社は2017年1月発足の新経営体制のもと、2016年11月発表の「サッポログループ長期経営ビジョン『SPEED150』」の第一次中期経営計画において、グループの成長促進へ「経営資源の戦略的シフト」「セグメント経営の事業構造変革と推進」による「基盤機能強化」を掲げています。
今般、グループの持つブランドを育成・強化しながら、確実な成長を目指して、事業軸による国際事業の推進と事業の組み換えを実行することにより、これまでの5報告セグメントを3報告セグメントヘ変更し、マネジメントアプローチによる管理を一層強化して参ります。
その概要は以下の表のとおりですが、より詳細な内容を3月末発送の株主通信に掲載いたします。
<対応表の掲載>

(2)サッポログループの主要事業での取り組み課題

【日本アジア】 : 「オンリーワンを積み重ね、No.1へ」のビジョン継続
- ●ビール類 : 「ビール再強化宣言」を掲げ、ビール強化の方針をさらに推進
- 「サッポロ生ビール黒ラベル」…「完璧な生ビールを実感・体験」していただく、ブランド接点拡大施策の推進
- 「ヱビス」…2020年の発売130周年に向け、日本を代表するビールとしてのブランドプレゼンス向上
- ●ワイン : 第2の事業の柱としての育成・強化継続
- ファインワイン…日本ワイン「グランポレール」、シャンパーニュ「テタンジェ」、輸入ワイン「ペンフォールズ」を中心に提案強化
- デイリーワイン…業務用限定商品の発売などを通じた、認知とお客様の裾野拡大
- ●スピリッツ : 上質なブランドと差別化された特長ある商品提供
- RTD…「男梅サワー」などのコラボレーション商品と主力ブランド「サッポロチューハイ99.99<フォーナイン>」をさらに強化、「驚きをカタチに」をスローガンに新たな切り口のオンリーワン商品を創出
- 和酒・洋酒…好調な甲乙混和芋焼酎「こくいも」、世界販売量・販売金額No.1ラム(※)「バカルディ」「デュワーズ」「ボンベイサファイア」「マルティーニ」の売上拡大に注力
- ※2017年 インターナショナル・ワイン&スピリッツ・リサーチ調べ
- ●アジア : 利益創出
- 「サッポロベトナム社」…利益を創出できる販売体制の確立
【アメリカ・カナダ(北米)】 : 継続的成長
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- 「スリーマン社」…戦略ブランドの強化、ポートフォリオの最適化、プレミアムブランドへの経営資源投入継続、RTDへの取り組み強化による継続的成長
- 「サッポロUSA社」「アンカー社」…両社経営統合による製造・販売両面におけるシナジー効果の最大化、飛躍的成長を実現するためのプラットフォーム構築、重点エリア明確化による経営資源の最大化、コスト構造改革による収益性向上
【外食】 : 「営業品質」の向上を図り、安全・安心な商品の提供に向けた取り組みを推進
-
- 国内新規展開…基幹業態である「銀座ライオン」や「ヱビスバー」、新業態「そばえもん」等の展開エリアの拡大、新業態開発にも注力
- 国内既存店舗施策…将来にわたる収益力の維持・向上に向けた、店舗改装・業態変更への積極的な取り組み
- 海外店舗施策…ビヤホール文化を世界に発信すべく、シンガポール国内での「銀座ライオン」ブランドの再構築に向けた取り組み、収益向上に向けたコスト構造改革を推進

【日本アジア】 : お客様視点を徹底し、お客様に喜ばれるようなものづくりで新価値を提案
- ●国内飲料
- 「キレートレモン」「素材系」「食感系」等、強みにさらに磨きをかけ、独自のポジションを確立
- ●国内食品
- スープ…「サッポロビール社」仙台工場内に、「ポッカサッポロフード&ビバレッジ社」仙台工場を新設(8月竣工予定)し、カップ入りスープの製造設備と粉末スープ顆粒原料の造粒設備を備え、堅調に成長するインスタントスープにおいてさらなる積極展開
- レモン食品…「ポッカレモン100」やレモン酢商品の需要拡大活動を展開
- 業務用…グループシナジーを活かし、レモン原料、粉末スープ、粉末茶等の売上を拡大
- 豆乳…サッポログループの強みである豆乳ヨーグルトの新たな商品展開を図るため、「ポッカサッポロフード&ビバレッジ社」群馬工場内に製造設備を新設(3月竣工予定)
- ●国内外食
- 「カフェ・ド・クリエ」…きめ細かなマーケティングにより、既存店を活性化
- 新規出店を加速させ、クリエブランドの価値を向上
- ●海外飲料
- アジア…主力のシンガポール市場での優位性を維持しつつ、売上拡大と効率化を推進、各国の市場ニーズに合わせた商品を展開、プレゼンス向上へ
【アメリカ(北米)】
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- 「カントリー ピュア フーズ社」「シルバー スプリングス シトラス社」…両社の経営統合完了により、経営資源を迅速に最大限活用

事業全体の価値向上に向けた、保有物件ポートフォリオの戦略的組み替え、「まちづくり事業」推進、不動産証券化による資金調達手段の多様化、新たな事業ドメインの構築
- ●不動産賃貸
- ハード・ソフト両面における競争力強化継続、保有物件の稼働率及び賃料水準の維持向上への取り組み
- ●中核施設「恵比寿ガーデンプレイス」
- 商業区画をはじめとする各エリアにおける利便性向上、新たな付加価値提供による街全体のブランド価値を向上
- ●複合商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」
- 施設コンセプトである「発信と交流の拠点」としてさらに情報発信力を高め、ブランド価値を向上
- 街の賑わい創出、集客向上への貢献
- ●複合商業施設「サッポロファクトリー」
- 札幌市が都心まちづくり重点地区と位置付けて進める「創成川以東地区」の再整備計画に合わせた改装を継続、魅力ある都市空間づくり
(ご参考)サッポログループのコーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスに関する基本方針
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、東京証券取引所上場規則における「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨・精神を踏まえたうえで、当社のコーポレートガバナンスに関する考え方及び運営方針を明確化するため、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」を制定しています。
本方針のなかで、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方として、コーポレートガバナンスの強化充実を経営上の重要な課題の一つとして位置付け、持株会社体制のもとでグループ内における監督機能、業務執行機能及び監査機能を明確化し、経営における透明性の向上と経営目標の達成に向けた経営監視機能の強化に努めています。

コーポレートガバナンスに関する詳細な情報はこちらをご覧ください。
http://www.sapporoholdings.jp/ir/management/corporategovernance.html本ページに記載している以外の事業報告の各項目については「全文PDF」・「インターネット開示」をご覧ください。
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