事業報告(自 平成28年3月1日 至 平成29年2月28日)
会社の現況に関する事項
1.主要な事業内容(平成29年2月28日現在)
当社の製品は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」シリーズ、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」、そしてプロジェクト管理パッケージ「SI Object Browser PM」という4つの市場・製品群から構成されています。
「SI Object Browser」と「SI Object Browser PM」はパッケージの販売と保守を主体とした事業形態です。「SI Web Shopping」、「GRANDIT」はそれに加えてお客様のニーズに合わせてカスタマイズを行ってソリューションとしても提供しています。前者が高い利益率、後者が売上拡大の牽引事業という役割をバランスさせ、市場環境の変化に対応し、幅広い技術を習得しやすい製品構成になっています。
(製品別業務対応表)

※GRANDITは、コンソーシアム方式で開発され、当社は企画段階から参画しています。
2.事業の経過及びその成果
(全般)
当事業年度の業績は、売上高3,176,524千円(前期比10.2%減)、売上総利益879,975千円(前期比14.6%減)、営業利益219,052千円(前期比50.8%減)、経常利益222,662千円(前期比50.2%減)、当期純利益137,316千円(前期比62.3%減)となりました。
当社の事業は、Object Browser事業、EC・オムニチャネル事業、ERP事業、の3事業で構成されています。当事業年度は、Object Browser事業、EC・オムニチャネル事業の2事業は好調だったものの、ERP事業において大きな不採算案件が発生してしまい、全体として売上、利益ともに対前期比で落ち込んでしまいました。
なお、前々事業年度に発生した不採算案件については、現在契約の最終決着に向けての調整段階です。
事業区分別の概況
各セグメント別の業績は、次のとおりであります。
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Object Browser事業
売上高構成比Object Browser事業Object Browser事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、データベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」、プロジェクト管理パッケージ「SI Object Browser PM」及びアプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer」の4製品から構成されています。
「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」は、ソフトウェア開発の生産性を向上させるツールとして業界で多く利用されており、当社の主力製品の一つとして安定した収益源となっており高い利益率で推移しています。クラウドの普及によりクラウド環境上にシステムを構築するケースが増えてきたため、両製品ともクラウド対応を行い、新しいクラウド市場での利用拡大を図っております。
アプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer」は、ソフトウェア開発におけるCADという新しい発想の製品です。今後、ソフトウェア業界が機械や建設業などの企業と同程度にCADを用いて設計作業を行うようになることを見込んで、既に特許を取得しております。IT業界の人手不足が深刻になる中、生産性を高めるツールとして注目され、徐々に販売を拡大しています。
「SI Object Browser PM」は、発売以来着実に市場浸透が進み、市場からも高い評価を得て導入企業実績は140社を超えました。本製品は、プロジェクト管理の事実上の世界標準であるPMBOKの管理エリアを統合するという製品コンセプトが高い評価を得ています。ERPのノウハウ・構想力がないと作れないという参入障壁があるため、現時点で競合する製品はほとんどありません。
日本市場での成功を背景に「OBPM 中国語版」を開発して中国での販売を開始したのですが、こちらの方はまだ特筆すべき成果を上げられていません。
その代わり、IT業界以外の市場にターゲットを広げる方針を打ち立て、第一弾として「エンジニアリング版」をリリースしました。また、小規模な企業や大規模な企業の部門導入を見据えて「ライト版」も同時リリースしています。今後はこれらをベースに、IT業界だけでなく、エンジニアリング業界や製造業にも幅広く展開して売上のさらなる拡大を図る予定です。
本事業はプロダクト型事業であり、年間契約の保守サポートも重要な収入源となります。各製品の保守サポートは、ストック型ビジネスとして安定した事業収益をあげています。以上の結果、Object Browser事業の売上高は619,717千円(前期比6.8%増)、営業利益は397,331千円(前期比1.1%増)となりました。 -
EC・オムニチャネル事業
売上高構成比EC・オムニチャネル事業EC・オムニチャネル事業は、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」とオムニチャネル関連サービス「SI Omni Channel Services(SOCS)」(ソックス)を主力製品として構成されています。ネット通販の普及とともに事業規模も順調に推移してきましたが、市場の拡大につれて年々競争が激化しており、ここ数年は業績が伸び悩んでいました。
当社の強みは、20年以上もずっとEC事業を行ってきたことによるノウハウやソリューション力です。当事業年度は、複数の大型案件を全て成功させ、大規模ECサイト構築に関するソリューション力をアピールすることができました。
今後のEC市場は、オムニチャネルといった新たな潮流によりEC業界全体が大きく変わろうとしています。オムニチャネルを実現するには、ECサイトや店舗に散在する顧客情報を統合する必要があります。そのため、当事業年度ではオムニチャネル関連サービス「SI Omni Channel Services(SOCS)」に顧客統合管理機能を追加実装しました。今後は、顧客統合をキーワードとして新たな市場ニーズを開拓していく方針です。
EC・オムニチャネル事業の売上高は600,436千円(前期比10.7%減)、営業利益は65,802千円(前期は30,955千円の損失)となりました。 -
ERP事業
売上高構成比ERP事業ERP事業は、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」を主力製品として構成されています。
当社では、取締役をはじめ従業員の多くが長年ERPに携わっており、その豊富な業務ノウハウを強みにして事業規模を拡大してきました。
「GRANDIT」はコンソーシアム方式なので、同一製品を複数のコンソーシアム企業が販売しています。当社は「GRANDIT」の企画・開発から携わった開発力を強みに、独自のアドオンモジュールを自社で開発し、これを当社のお客様だけでなく他のコンソーシアム企業にも販売しています。
これまでに「個別生産管理アドオンモジュール」、「繰返生産管理アドオンモジュール」及び「継続取引管理アドオンモジュール」を自社で開発し、これらの効果で主に製造業向けの販売・受注が拡大しています。さらに、当社の自社開発パッケージ「SI Object Browser PM」との組合せにより、IT関連企業向けの「IT テンプレート」として製品化し、IT企業への導入事例も増えています。
当社の強みは、自社の基幹業務に「GRANDIT」を活用しているところです。これを「SI Object Browser PM」と密接に連携した上で、「継続取引管理アドオンモジュール」も利用し、自らIT企業における理想的な合理化モデルとなっています。
最近はクラウド上に基幹業務システムを構築するケースが増えてきております。こうした時代ニーズに対応すべく当社自体の「GRANDIT」と「SI Object Browser PM」もアマゾンウェブサービス(AWS)のクラウドに移行し、その構築・運用ノウハウをベースにお客様に提案しており、すでに数社の稼働事例につながっています。今後も「GRANDIT on AWS」というモデルを積極的に展開し、システム構築だけではなく運用も含めてワンストップでサポートするパートナー企業として事業拡大を行います。
このように順調に事業を拡大してきましたが、当事業年度は、大きな不採算案件が発生してしまいました。事業の成長とともに案件規模が拡大しており、それに対応するための要員体制が不十分だったことが原因です。今回の失敗をもとに、大規模でも成功する仕組みを構築して、より強い事業体質となるべく努力しています。
上記の不採算案件の影響が大きかったため、ERP事業の売上高は1,956,371千円(前期比14.4%減)、営業利益は151,108千円(前期比62.4%減)となりました。

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Object Browser事業
Object Browser事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、データベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」、プロジェクト管理パッケージ「SI Object Browser PM」及びアプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer」の4製品から構成されています。
「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」は、ソフトウェア開発の生産性を向上させるツールとして業界で多く利用されており、当社の主力製品の一つとして安定した収益源となっており高い利益率で推移しています。クラウドの普及によりクラウド環境上にシステムを構築するケースが増えてきたため、両製品ともクラウド対応を行い、新しいクラウド市場での利用拡大を図っております。
アプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer」は、ソフトウェア開発におけるCADという新しい発想の製品です。今後、ソフトウェア業界が機械や建設業などの企業と同程度にCADを用いて設計作業を行うようになることを見込んで、既に特許を取得しております。IT業界の人手不足が深刻になる中、生産性を高めるツールとして注目され、徐々に販売を拡大しています。
「SI Object Browser PM」は、発売以来着実に市場浸透が進み、市場からも高い評価を得て導入企業実績は140社を超えました。本製品は、プロジェクト管理の事実上の世界標準であるPMBOKの管理エリアを統合するという製品コンセプトが高い評価を得ています。ERPのノウハウ・構想力がないと作れないという参入障壁があるため、現時点で競合する製品はほとんどありません。
日本市場での成功を背景に「OBPM 中国語版」を開発して中国での販売を開始したのですが、こちらの方はまだ特筆すべき成果を上げられていません。
その代わり、IT業界以外の市場にターゲットを広げる方針を打ち立て、第一弾として「エンジニアリング版」をリリースしました。また、小規模な企業や大規模な企業の部門導入を見据えて「ライト版」も同時リリースしています。今後はこれらをベースに、IT業界だけでなく、エンジニアリング業界や製造業にも幅広く展開して売上のさらなる拡大を図る予定です。
本事業はプロダクト型事業であり、年間契約の保守サポートも重要な収入源となります。各製品の保守サポートは、ストック型ビジネスとして安定した事業収益をあげています。以上の結果、Object Browser事業の売上高は619,717千円(前期比6.8%増)、営業利益は397,331千円(前期比1.1%増)となりました。 -
EC・オムニチャネル事業
EC・オムニチャネル事業は、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」とオムニチャネル関連サービス「SI Omni Channel Services(SOCS)」(ソックス)を主力製品として構成されています。ネット通販の普及とともに事業規模も順調に推移してきましたが、市場の拡大につれて年々競争が激化しており、ここ数年は業績が伸び悩んでいました。
当社の強みは、20年以上もずっとEC事業を行ってきたことによるノウハウやソリューション力です。当事業年度は、複数の大型案件を全て成功させ、大規模ECサイト構築に関するソリューション力をアピールすることができました。
今後のEC市場は、オムニチャネルといった新たな潮流によりEC業界全体が大きく変わろうとしています。オムニチャネルを実現するには、ECサイトや店舗に散在する顧客情報を統合する必要があります。そのため、当事業年度ではオムニチャネル関連サービス「SI Omni Channel Services(SOCS)」に顧客統合管理機能を追加実装しました。今後は、顧客統合をキーワードとして新たな市場ニーズを開拓していく方針です。
EC・オムニチャネル事業の売上高は600,436千円(前期比10.7%減)、営業利益は65,802千円(前期は30,955千円の損失)となりました。 -
ERP事業
ERP事業は、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」を主力製品として構成されています。
当社では、取締役をはじめ従業員の多くが長年ERPに携わっており、その豊富な業務ノウハウを強みにして事業規模を拡大してきました。
「GRANDIT」はコンソーシアム方式なので、同一製品を複数のコンソーシアム企業が販売しています。当社は「GRANDIT」の企画・開発から携わった開発力を強みに、独自のアドオンモジュールを自社で開発し、これを当社のお客様だけでなく他のコンソーシアム企業にも販売しています。
これまでに「個別生産管理アドオンモジュール」、「繰返生産管理アドオンモジュール」及び「継続取引管理アドオンモジュール」を自社で開発し、これらの効果で主に製造業向けの販売・受注が拡大しています。さらに、当社の自社開発パッケージ「SI Object Browser PM」との組合せにより、IT関連企業向けの「IT テンプレート」として製品化し、IT企業への導入事例も増えています。
当社の強みは、自社の基幹業務に「GRANDIT」を活用しているところです。これを「SI Object Browser PM」と密接に連携した上で、「継続取引管理アドオンモジュール」も利用し、自らIT企業における理想的な合理化モデルとなっています。
最近はクラウド上に基幹業務システムを構築するケースが増えてきております。こうした時代ニーズに対応すべく当社自体の「GRANDIT」と「SI Object Browser PM」もアマゾンウェブサービス(AWS)のクラウドに移行し、その構築・運用ノウハウをベースにお客様に提案しており、すでに数社の稼働事例につながっています。今後も「GRANDIT on AWS」というモデルを積極的に展開し、システム構築だけではなく運用も含めてワンストップでサポートするパートナー企業として事業拡大を行います。
このように順調に事業を拡大してきましたが、当事業年度は、大きな不採算案件が発生してしまいました。事業の成長とともに案件規模が拡大しており、それに対応するための要員体制が不十分だったことが原因です。今回の失敗をもとに、大規模でも成功する仕組みを構築して、より強い事業体質となるべく努力しています。
上記の不採算案件の影響が大きかったため、ERP事業の売上高は1,956,371千円(前期比14.4%減)、営業利益は151,108千円(前期比62.4%減)となりました。
対処すべき課題
当社の中長期的な経営戦略達成のための対処すべき課題は以下のとおりであります。
(1) リスク管理の徹底
「SI Object Browser PM」のリスクマネジメント機能を活用して、見積、受注(契約)、及びプロジェクトの各工程において、リスクの早期把握及び迅速な対応を行う仕組みを導入し、失敗プロジェクトを発生させないようにしています。制度や仕組みはできたので、これを効果的に運用して、これらの対策を全社員がしっかりと遵守し、運用徹底するように役員自ら率先して指導していきます。
(2) ソフトウェア開発の近代化
ソフトウェア業界の生産性は、ハードウェア業界に比べて伸び悩んでおります。その原因としてソフトウェア開発の現場で相変わらず旧態依然の方法で開発作業がなされていることがあげられます。当社の「SI Object Browser」シリーズはこのような状況を打開して、ソフトウェアの開発生産性を向上させるためのツール群であります。当社においても、「SI Object Browser ER」でデータベース設計作業を効率化し、「SI Object Browser」で開発、テスト工程の生産性向上を実現しています。また、「SI Object Browser PM」をフル活用して国内トップレベルのプロジェクト管理の合理化を実現しています。
アプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer」もこのような目的を実現するツールです。この製品によって自社の開発生産性をさらに高めるとともに、既存3製品との相乗効果でIT業界全体の生産性向上に大きく役立つ製品群として広めていきます。
今後もこのような効率化ツールを積極的に評価・採用し、開発生産性の向上に努めていきます。また、これまでのさまざまなプロジェクトで行われたカスタマイズ事例のナレッジを共有することにより、これらを活用し過去の資産を活かして、効率良く開発できる体制を整えており、今後も継続して見直し活用していきます。
(3) パッケージの強化
当社のパッケージビジネスは、特定分野に依存せずに市場の広がる分野にパッケージソフトウェアを投入することを特徴としておりますが、それは各分野で競合製品との厳しい競争に打ち勝たなければならないことを意味しております。また、時代ニーズの変化も早く、継続して機能強化・改良に努めなければなりません。
パッケージビジネスはその分野でトップシェアを獲得することが非常に重要となることから、今後もパッケージソフトウェア開発及びマーケティング活動に力を注ぎ、当社製品がそれぞれの分野でNo.1になるためのパッケージ強化を計画的に行ってまいります。
(4) パッケージソフトウェアの海外展開
平成18年8月に設立したMIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・アンド・サービス)コンソーシアムは平成29年2月末現在、70社の企業が参加しております。これは国内のトップクラスのパッケージを持つベンダが協力し、日本のソフトウェアを海外にアピールするとともに連携を図っていくというものであります。この新しい枠組みを利用して、「SI Object Browser」、「SI Object Browser ER」に引き続き「SI Web Shopping」の中国語版も中国で販売しています。また、平成25年3月に中国現地法人の大連百易軟件株式会社と当社製品である「SI Object Browser」シリーズの中国国内での総販売代理店契約を締結し、中国国内での新たな販売展開を行っています。さらに、国内で順調に販売拡大できている「SI Object Browser PM」の中国語版ができましたので、これを中国国内企業に販売していきます。
現在は、これらの直接投資は少額に抑えるため、提携先との協力関係により拡販を図っておりますが、実績が上がるのに伴ってより積極的な海外展開を図っていく予定です。また、今後、投入する新製品は最初から海外市場を狙って多言語対応して海外市場戦略を実施してまいります。
(5) 内部統制システムの強化
当社は、健全経営こそが企業を長期繁栄に導くと考えており、内部統制システムの強化を重要な経営課題としております。その基本理念に基づいた「内部統制システムの基本方針」を策定しており、適時見直しを行い必要に応じて改定を行っています。また、プライバシーマークの取得、「リスク管理規程」、「経営危機管理規程」、「適時開示規程」など継続的な関連規程の制定と改善を行っております。財務報告に係る内部統制報告書制度対応のため、必要に応じ社内体制を見直し、定期的に監査人との協議も行っております。引き続き、これらのルールを遵守して実行するために、社員教育や啓蒙活動を行ってまいります。
(6) 開発体制の拡充
IT業界は、ここ数年好景気が続いており、この好調はあと2年は続くものとみております。こうした市場環境の良さより、特にERP事業では好調な引合いに対応できず、案件を辞退するケースが増えています。そのため、喫緊の課題として社員並びにパートナー企業を含めた開発体制の強化があげられます。これまでにも取り組んできましたが、より一層の強化プランを立てて実施していく必要があります。
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